婚姻率と宗教の関係

Family

2014年10月16日付『First Things』にBradford Wilcoxが「暖炉と祭壇」、すなわち家庭と宗教のつながりについて書いている。

W. Bradford Wilcox. “Religion and Family around the Globe”. First Things. Oct 16th, 2014

このエッセイの中ではいくつかの統計が紹介されている。一つはアメリカの例だ。米国では、教会への礼拝の出席率と、婚姻率、さらには3人目、4人目の子供を産む率とに有意な相関関係があるという(図表としては、1972~2012年までの婚姻率と礼拝出席率の関係が示されている)。

さらに「世界価値観調査」(the World Values Survey)と「世界の人口に関する情報源」(the Population Reference Bureau)の統計資料を用いて世界の傾向について調べた結果を示している。すると、そこでも、宗教が自身にとって重要だと考える人の数が多いほど、出生率が高くなる傾向がある。

もちろんここには、教育水準の問題、親族の絆の強さなど、他にも考慮すべき要因が考えられるが、命の誕生や、父母の自己犠牲などを讃える宗教的価値観(キリスト教、イスラムなど)も出生率の向上に寄与していると言えそうだ。

これは「婚姻率」についてもあてはまる。ラテンアメリカを除く世界の大部分の地域では、より信仰深い国であるほど、婚姻率も高くなっている。これについては都市化の程度、一人当たりの国民総所得、収入格差などを調整した後にも、統計的に有意(P<.05)な関係がある。

日本では「少子化」についての危機感が高まっている。ともすれば「婚外子比率の高い国が出生率が高い」という恣意的な議論が成され、結婚せずに出産することを推奨するような人々もいる。

しかし、フランスを例にとっても、婚外子比率は60年代から一貫して上昇してきたが、出生率は、その間低下し続けていた。出生率が上昇に転じたのは1993年頃であり、出生率が最も低かった時点で、すでに婚外子比率は40%に達していた。

Wilcoxによれば、むしろ婚姻率、出生率と相関関係が高いのは、宗教的価値観である。「少子化」対策においても、宗教者の役割が重要なのかもしれない。

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